適正使用情報

安全性検討事項

アムヴトラ投与開始前に、以下のリスクについて患者またはその家族にご説明ください。

アムヴトラ皮下注25mgシリンジに係る医薬品リスク管理計画書(RMP)における安全性検討事項

重要な特定されたリスク

該当なし

重要な潜在的リスク

ビタミンA欠乏に伴う有害事象(夜盲等)

心機能障害(ATTRv-PN)

重要な不足情報

中等度または重度の肝機能障害患者への投与

重要な潜在的リスク

  • ビタミンA欠乏に伴う有害事象(夜盲等)

    アムヴトラの作用機序により、血清中のレチノール結合タンパク質およびビタミンAが減少するため、ビタミンA欠乏に伴う事象(夜盲等)のリスクがあります。代替機序によりビタミンAの輸送と組織への取り込みが生じうると考えられており、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(HELIOS-A試験)の投与18ヵ月までの投与期における眼障害関連の有害事象の発現割合は、アムヴトラ群で28.7%(35/122例)、オンパットロ群で23.8%(10/42例)でした。また、HELIOS-A試験において、外部対照として用いたトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー患者を対象としたオンパットロの国際共同第Ⅲ相試験(APOLLO試験)のプラセボ群における投与18ヵ月までの眼障害関連の有害事象の発現割合は26.0%(20/77例)でした。アムヴトラ群では、オンパットロ群又は APOLLO 試験のプラセボ群と比較して有害事象の発現割合が大きく異なる傾向は認められなかったものの、アムヴトラ投与によりビタミンA欠乏に伴うリスクは否定できないことから、重要な潜在的リスクに設定しました。

  • 心機能障害

    トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの病態生理と一貫として、HELIOS-A試験の過半数の患者に、ベースライン時の病歴に重大な心臓障害が認められました。HELIOS-A試験の18ヵ月の投与期間において、心機能障害関連の有害事象の発現割合は、アムヴトラ群で35.2%(43/122例)、オンパットロ群で28.6%(12/42例)であるのに対して、外部対照として用いたAPOLLO試験のプラセボ群で45.5%(35/77例)でした。しかし、心筋症から予期される事象と考えられる呼吸困難に関連する有害事象の発現割合は、アムヴトラ群で8.2%(10/122例)、オンパットロ群で2.4%(1/42例)であるのに対して、APOLLO試験のプラセボ群で1.3%(1/77例)でした。

    APOLLO試験の死亡例については、オンパットロ群7例(4.7%)、プラセボ群6例(7.8%)で認められました。そのうち心臓関連死は、オンパットロ群7例(4.7%)、プラセボ群1例(1.3%)で認められました。いずれもオンパットロとの因果関係は否定されました。

    HELIOS-A試験では、18ヵ月間の投与期間においてアムヴトラ群2例(1.6%)、オンパットロ群3例(7.1%)の計5例の死亡が報告されました。そのうち、心臓関連死に該当する有害事象はアムヴトラ群1例(0.8%)およびオンパットロ群2例(4.8%)で認められました。いずれもアムヴトラもしくはオンパットロとの因果関係は否定され、基礎疾患またはその他の要因による死亡と考えられました。18ヵ月以降の継続投与期(2021年8月26日カットオフ時点)におけるアムヴトラ群の死亡例は3例(心突然死2例、突然死1例)に認められましたが、いずれもアムヴトラとの因果関係は否定されました。

    類薬であるrevusiranの心筋症を有する遺伝性トランスサイレチン型アミロイドーシス患者を対象とした臨床試験においても投与期間中の死亡率がプラセボ群よりrevusiran群で高かったことが報告されていますが、心臓関連死とrevusiranとの因果関係は明らかではありませんでした。

    以上を踏まえ、現時点でアムヴトラと心機能障害関連の有害事象の因果関係を強く示唆する情報は得られていないものの、アムヴトラによる心臓関連死を含む心機能障害のリスクは否定できないことから、重要な潜在的リスクに設定しました。

重要な不足情報

  • 中等度または重度の肝機能障害患者への投与

    アムヴトラは肝細胞に特異的に取り込まれた上で有効性を示す薬剤です。HELIOS-A試験において、ベースライン時に軽度の肝機能障害*1が認められた患者は8例(6.6%)でした。HELIOS-B試験において、ベースライン時に軽度の肝機能障害*1が認められた患者はアムヴトラ群で55例(16.9%)、中等度の肝機能障害*2が認められた患者は11例(3.4%)でした。いずれの試験においても、アムヴトラ投与患者の肝臓に安全性上の懸念はありませんでした。

    アムヴトラでは重度の肝機能障害患者を対象とした試験は実施していません。重度の肝機能障害患者でのアムヴトラ投与に伴うリスクは不明であること、中等度の肝機能障害患者のデータは限られていることから、中等度または重度の肝機能障害患者へのアムヴトラ投与を重要な不足情報に設定しました。

*1

総ビリルビンが基準値上限以下かつASTが基準値上限超、または総ビリルビンが基準値上限超から基準値上限の1.5倍以下

*2

総ビリルビンが基準値上限の1.5倍超から基準値上限の3倍以下