適正使用情報
投与前の確認事項
患者選択のフローチャート
アムヴトラの投与にあたり次の項目をご確認の上、適正な患者選択を行い、投与の可否を検討いただきますようお願いいたします。
適応となる患者
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- 診断基準
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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの診断基準については、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 アミロイドーシスに関する調査研究班が作成した「ATTRvアミロイドーシス」の診断基準 http://amyloidosis-research-committee.jp/wp-content/uploads/2020/07/diagnostic_200702.pdf(2022年11月閲覧)を参照してください。
なお、アムヴトラの効能又は効果は、「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」です。本剤の適用にあたっては、神経症状を有し、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの診断が確定していることを確認してください。
適応とならない患者
特定の背景を有する患者のうち留意すべき患者
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- 生殖能を有する者への投与
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アムヴトラの投与により、血清中ビタミンA濃度の低下が引き起こされます。母体の血清中ビタミンA濃度の低下が胎児に及ぼす影響は不明であることから、患者の安全性を考慮して、注意喚起しています。
患者が妊娠を希望する場合は、アムヴトラの投与を中止し、血清中ビタミンA濃度をモニタリングしてください。アムヴトラの最終投与後12ヵ月以上にわたり血清中ビタミンA濃度の低下が持続する可能性があります。
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- 妊婦への投与
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妊婦へのアムヴトラの投与に関するデータはなく、母体の血清中TTR濃度または血清中ビタミンA濃度の低下が胎児に及ぼす影響は不明です。非臨床試験で、生殖毒性が認められたことから、患者の安全性を考慮して、注意喚起しています。
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- 授乳婦への投与
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アムヴトラのヒト母乳中への移行、授乳児に対する影響、および乳汁産生に対する影響に関するデータは得られていませんが、患者の安全性を考慮して、注意喚起しています。
その他の特定の背景を有する患者
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- 肝移植後の患者への投与
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肝移植後の患者を対象とした臨床試験は実施していないため、注意喚起しています。
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- 腎機能障害患者への投与
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アムヴトラの臨床試験において重度の腎機能障害患者および末期腎不全患者は除外されたため、注意喚起しています。
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- 肝機能障害患者への投与
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アムヴトラの臨床試験において中等度および重度の肝機能障害患者は除外されたため、注意喚起しています。
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- 小児等への投与
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トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは主に成人で発症するため、小児を対象とした臨床試験の実施は困難であり、アムヴトラの臨床試験において18歳未満の青年および小児に関する利用可能な成績は得られていないため、注意喚起しています。
患者またはその家族への説明
アムヴトラによる治療開始に先立ち、患者またはその家族に対して、アムヴトラの有効性、副作用およびその対策など、治療上のリスクとベネフィットを十分に説明し、同意を得てください。
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- アムヴトラとは
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アムヴトラは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療に使用するお薬です。
トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、トランスサイレチン(TTR)というタンパク質を作るための遺伝子に変異があることで、産生されたタンパク質(TTR)の構造が崩れて線維化しやすくなり、身体の様々な組織に沈着することで、末梢神経やいろいろな臓器の障害が生じます。
アムヴトラは、TTR遺伝子からTTRタンパク質が作られる過程の分子(メッセンジャーRNA)を分解し、肝臓でのTTRタンパク質の産生を抑制することで、効果を示します。
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- 有効性
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アムヴトラは、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(HELIOS-A試験)において、同じくトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー患者を対象としたオンパットロ(パチシラン)の国際共同第Ⅲ相試験(APOLLO試験)のプラセボ群と比較して、神経障害の指標であるmNIS+7やQOLの指標であるNorfolk QOL-DNスコアなどについて有意な改善が認められています。
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- 注意すべき主な副作用
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アムヴトラを投与すると、内出血、紅斑、痛みやかゆみなどの症状が注射部位に起きたり(注射部位反応)、ビタミンAが減少したりすることがあります。また、ドライアイ、白目部分(強膜)の変色、消化不良、疲れ、手足のむくみなどがみられる場合もあります。
〈参考〉
患者またはその家族への説明にあたっては、患者向け冊子「アムヴトラによる治療を受ける患者さんへ」もご活用ください。